2005/06/11(sat)
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適応には2種類.既存のものにあわせていく能力と,既存のものを変えることのできる能力.一般に適応という場合 前者を指す.
社会脳仮説によれば,人間の脳は社会という複雑な(生存のために考慮すべき要因の多い)状況に適応することによってここまで進化した(この場合の適応も前者).
しかし,現在の人間社会において優れた脳を持った個体と見なされる人間は,単純に前者の意味での適応ができる存在というよりは,後者ができる存在ではないだろうか.優れた学者もその一部だろう.
おそらく,単純に前者の意味だけでの適応を考慮して行動しているだけでは,いつまでたっても後者の意味での適応能力をもつ存在にはなれないだろう.前者を求めるだけでは手に入れることのできない,何らかの能力(批判的思考能力や創造性などがそれにあたるのか?)を獲得する必要がある.それはもしかすると前者を求めてては手に入りにくくなってしまうものなのかもしれない.
しかし,現代社会における学者の立場は決して前者の意味での適応能力がなくても許されるような立場ではない.ちゃんとした社会人としての大人になることを求められる.それは別に悪いことでもないし,当たり前のことだ.ただ学者として大きな目標を持っている人間は,その前者の意味での適応を成し遂げることに慣れすぎないように注意しなければならない.
大人な行動をとりつつも,既存のものとは異なる何かを常に求め,かつそのような態度から生まれたものを伝えていくことのできる存在,そんな人が後者の意味での適応ができる人なのかもしれない.
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