2006/07/06(thu)
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自然の様々なレベルで,ある程度のまとまりを持った存在(個)同士のつながり(ネットワーク)が存在し,そのことが,そのレベルにおける個の形状や役割に影響を与えたり,上位レベルの個を生み出したりているわけです。最近は,このようないろいろなレベルにおけるネットワークに共通した性質というものを解明する試みが流行っています。科学では節約的な説明が歓迎されますし,様々なレベルの事象が,ある特定の理論で説明できるのであれば,それはかなり興味深いものとなるでしょう。 となると,やはり次に知りたくなるのは,レベル間の違いです。もちろんこのようなネットワークの共通性が取りざたされる前から,それぞれのレベルにおける研究はなされてきたわけですが,ネットワークの考え方を導入した上で,レベル間の共通性を仕分けし,違いとして残っていくものが何であるのかについての知見を整理することは,新たな知見を生み出す上でも重要な作業であると思えます。 もちろん私は現在,その違いが何なのかに関して,確信を持てる答えは持ちあわせていません。短絡的には,個としての役割の違いや能力の違い,システムとしての目的,などが違うように見えますが,それも突き詰めれていけば,大した違いではないような気がします。 例えば私は,人の脳の前頭前野内側部には,社会の中で行動を選択し生きていくために必要な,行動選択の基準となるような情報(自分についての知識や,道徳など)が表象されていると考えています。この行動選択の基準は上位レベルのネットワークである社会が複雑なほど,必要になってくる表象であり,ヒトという動物でもっとも発達しているのではないかと私は考えています。しかし,これも単に,上位レベルからみたときには,役割分担を実現するための「個体の形状」にすぎません。細胞内のシステム(ネットワーク)においては,高分子の「形状」によって役割分担がなされているわけで,その高分子の形状と行動選択の基準とは,存在意義としての違いがないとも言えます。
何にしろ,レベル間の共通性や違いが明らかになることにより,未知の下層や上層についての有益な予測が生み出される可能性を思うと少しワクワクします。きっとそんなの,ずいぶん先の話になるんでしょうけど。。。(^^;)
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